◆ 9月号事務所ニュース

(適用猶予業種の時間外労働の上限規制について)

1.趣旨・概要〜働き方改革の一環として時間外労働の上限規制が法制化され、2019年4月(大企業)又は2020年4月(中小企業)からすでに適用が開始されていますが、一部の適用猶予事業・業務については2024年3月31日で猶予期限が終了し、4月1日より時間外労働の上限規制が適用されることになっています。

2.時間外労働の上限規制とは〜労働時間は原則1週40時間、1日8時間以内の必要があると労働基準法で定められています。(法定労働時間)これを超えて働く時間の上限については、2019年4月より、罰則付きで法律に規定されました。

 原則として月45時間、年360時間(限度時間)以内で、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、限度時間を超えて時間外労働を延長できるのは年6ヶ月が限度。

3.適用猶予とは〜以下の事業・業務については、長時間労働の背景に業務の特殊性や取引慣行の課題があることから時間外労働の上限について適用が5年間猶予され、一部特例付きで適用されていました。2024年4月以降はこの猶予が終了し、以下の取扱いに変更されます。

猶予期間終了後の取扱い(2024年4月以降)

工作物の建設の事業
・災害時における復旧及び復興の事業を除き、上限規制がすべて適用。
・災害時における復旧及び復興の事業には時間外労働と休日労働の合計について月100時間未満、2〜6ヶ月平均80時間以内とする規制は適用されない。

自動車運転の業務
・特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間となる。
・時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2〜6ヶ月平均80時間以内とする規制が適用されない。
・時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月までとする規制は適用されない。

医業に従事する医師
・特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外・休日労働の上限が最大1860時間(一般的な医師の上限時間は年間960時間、月100時間未満、例外あり)となる。
・時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2〜6ヶ月平均80時間以内とする規制が適用されない。
・時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月までとする規制は適用されない。
・医療法等に追加的健康確保措置に関する定めあり。

鹿児島県、沖縄県の砂糖製造業
・上限規制がすべて適用される。

参考URL  適用猶予業種の時間外労働の上限規制 特設サイト はたらきかたススメ|厚生労働省 (mhlw.go.jp)